更新プログラム
.NET Frameworkアプリケーションを運用する場合、更新プログラムの適切な管理はランタイムのセキュリティや機能改善に欠かせない要素です。本ページでは、.NET Frameworkの更新プログラムの配布とインストールについて解説します。
更新プログラムのリリース頻度
.NET Frameworkのセキュリティ更新プログラムは現在、四半期ごとのリリースとなっています。リリース情報を見ると確かに、プレビューを除けば2025年1月に累積更新があり次の累積更新は2025年4月となっています。
参考情報
Windowsの更新プログラムとの関係
Windows 10 version 1809およびWindows Server 2019以降のバージョンでは、.NET Frameworkの更新プログラムはWindowsの更新プログラムとは別に提供されますが、Windows Updateを通じて自動的に配布されます。これにより、ユーザーは手動で更新プログラムをダウンロードしてインストールする必要がなくなります。更新プログラムの製品は"Windows"となっており、WSUS(Windows Server Update Services)を使用している場合は、Windowsの製品を選択する必要があります。
なお、一部のWindowsのバージョンと.NET Frameworkのバージョンの組み合わせでは、.NET Frameworkの更新プログラムがWindowsの更新プログラムに含まれることがあります。例えば、Windows 10 version 1607およびWindows Server 2016では、.NET Framework 4.6.2から4.7.2のバージョンの更新プログラムはWindowsの更新プログラムに含まれています。組み合わせについては下記表のとおりです。
Windows 8.1 Windows Server 2012 R2 以前 | Windows 10 version 1607 Windows Server 2016 | Windows 10 version 1809 Windows Server 2019 | Windows 10 version 22H2 Windows Server 2022 以降 | |
---|---|---|---|---|
.NET Framework 3.5 | .NET Framework累積更新 | Windows累積更新 | .NET Framework累積更新 | .NET Framework 累積更新 |
.NET Framework 4.6.2 .NET Framework 4.7 .NET Framework 4.7.1 | .NET Framework累積更新 | Windows累積更新 | - | - |
.NET Framework 4.7.2 | .NET Framework累積更新 | Windows累積更新 | .NET Framework累積更新 | - |
.NET Framework 4.8 | .NET Framework累積更新 | .NET Framework累積更新 | - | .NET Framework累積更新 |
.NET Framework 4.8.1 | - | - | - | .NET Framework累積更新 |
参考情報
インストールされている更新プログラムの確認方法
.NET Frameworkの更新プログラムはWindowsの更新プログラムとして扱われており、インストール済みの更新プログラムを確認するにはwmic qfe
コマンドやGet-Hotfix
コマンドレットを使用します。ただし、Windowsと同様に累積的な更新プログラムとなっており、置き換え関係を考慮することはできません。
ちなみに、公式ドキュメントではWindows Updateの更新履歴を確認する方法とHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Microsoft\Updates
レジストリを確認する方法が紹介されています。しかし、前者の方法はサポートチームのブログ記事によると「更新プログラムの適用有無を判断する材料としては使うことができない情報」とされており消失している可能性もあります。後者はそもそも非常に古いバージョンの更新プログラムの情報しか含まれていません。残念ながら、公式ドキュメントで紹介されている方法は最近のバージョンの.NET FrameworkとOSの組み合わせでは使えないと考えたほうがよさそうです。
同時に発行されるKB番号の関係
.NET Frameworkの更新プログラムは検出にのみ使用されるKB番号と、.NET Frameworkのバージョンに応じて実際にインストールされるバージョン毎のKB番号があります。例えば、Windows Server 2019向けの2024年11月の累積的なセキュリティ更新プログラムは以下の表のようにまとめられています。
Product version | Cumulative update |
---|---|
Windows 10 1809 and Windows Server 2019 | 5046540 |
.NET Framework 3.5, 4.7.2 | 5046268 |
.NET Framework 3.5, 4.8 | 5046269 |
このとき、KB5046540は更新プログラムの検出に使用されますのでWindows Updateの更新の履歴の画面やWSUS(Windows Server Update Services)ではこちらのKB番号が表示されます。ただし、実際にインストールされる更新プログラムは.NET Frameworkのバージョンに応じてKB5046268もしくはKB5046269となります。そのため、インストールされた更新プログラムの一覧の画面やwmic qfe
コマンド、Get-Hotfix
コマンドレットではこれらのKB番号が表示されます。.NET Frameworkの更新プログラムをインストールしたのにKB番号が見当たらない場合、あるいはインストールした更新プログラムのKB番号と異なるKB番号がインストールされているように見える場合は、同時に発行されるKB番号の関係を踏まえて再度確認してみるとよいでしょう。
参考情報
更新プログラムの分類と置き換え
.NET Frameworkの更新プログラムの分類は、セキュリティの修正を含む月の場合"セキュリティ問題の修正プログラム"の分類となっていますが、セキュリティの修正を含まない月は"更新"の分類となっています。 また、前者は直前の"セキュリティ問題の修正プログラム"と"更新"の分類の更新プログラムを置き換えますが、後者は直前の"更新"の分類の更新プログラムのみを置き換えます。例えば、Windows Server 2019向けの2024年7月から11月にかけて以下のリリースがありましたが、11月の更新プログラムKB5046540は"更新"に分類される直近の更新プログラムKB5042350を置き換える更新プログラムとなっており、10月の更新プログラムKB5044089は"更新"に分類される直近の更新プログラムKB5042350と"セキュリティ問題の修正プログラム"に分類される直近の更新プログラムKB5041017の両方を置き換える更新プログラムとなっています。
タイトル | 製品 | 分類 |
---|---|---|
2024-11 .NET Framework 3.5、4.7.2 および 4.8 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows Server 2019 用) (KB5046540) | Windows Server 2019 | 更新 |
2024-10 .NET Framework 3.5、4.7.2 および 4.8 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows Server 2019 用) (KB5044089) | Windows Server 2019 | セキュリティ問題の修正プログラム |
2024-08 .NET Framework 3.5、4.7.2 および 4.8 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows Server 2019 用) (KB5042350) | Windows Server 2019 | 更新 |
2024-07 .NET Framework 3.5、4.7.2 および 4.8 の累積的な更新プログラム (x64 向け Windows Server 2019 用) (KB5041017) | Windows Server 2019 | セキュリティ問題の修正プログラム |
更新プログラムの製品
更新プログラムには製品の属性が含まれていますが、.NET FrameworkはWindowsのコンポーネントとして位置づけられているため、更新プログラムの製品属性は"Windows"となっています。そのため、WSUSで同期する際に.NET Frameworkの項目はなく、Windowsの製品を選択する必要があります。